1.古文の語句 1〜80






1.
あいなし

@つまらない
A気にいらない

【語呂合わせ】愛なしではつまらない

@「世に語り伝ふること、まことはあいなきにや、多くはみな虚言(そらごと)なり」

【訳】世間に語り伝えていることは、真実はつまらないのであろうか、多くはみんなつくりごとである。
【出典】徒然草


A「上達部(かんだちめ)・上人(うへびと)なども、あいなく目をそばめつつ」

【訳】上達部や殿上人なども、みな気に入らなくて目をそむけて。
【出典】源氏物語 桐壺
2.
あからさまなり

@ほんのちょっと。
A急だ。突然だ。

【語呂合わせ】「あ」から「さ」まほんのちょっと

@「あからさまにまかでたるほど、二日ばかりありてしも雪は降るものか」

【訳】ほんのちょっと(私が里に)退出している間、二日ほどたって(あいにくにも)雪が降ったではないか。
【出典】紫式部日記 寛弘五・一一・一


A「嗔猪(いかりゐ)、草中よりあからさまに出いでて人を逐おふ」

【訳】怒り狂ったいのししが、草の中から急に出てきて人を追う。
【出典】日本書紀 雄略
3.
あく

@満足する。
Aいやになる。飽きる。

【語呂合わせ】あくが嫌になり、やめたら満足した

@「あはれ、いかで芋粥(いもがゆ)にあかん

【訳】ああ、何とかして、芋粥に十分に満足したい
【出典】宇治拾遺 一・一八


A「世の中の憂うけくにあきぬ奥山の木の葉に降れる雪や消けなまし」

【訳】この世のつらさにいやになった。奥山の木の葉に降り積もった雪が消えるように、私も奥山に入ってこの世から姿を隠してしまおうか。
【出典】古今集 雑下
4.
あさまし

@意外だ。
A情けない。興ざめだ。
Bあきれるほどひどい。
Cみっともない。

【語呂合わせ】朝飯(あさまし)を力士が抜くとは意外だ

@「思はずにあさましくて、『こはいかに、かかるやうやはある』とばかり言ひて」

【訳】思いがけず驚くばかりで、「これはどうしたことか、こんなことがあるだろうか、いや、あるはずがない」とだけ言って。
【出典】十訓抄 三


A「わがもてつけたるをつつみなく言ひたるは、あさましきわざなり」

【訳】自分が使い慣れている言葉を遠慮なく言うのは、情けないものである。
【出典】枕草子 ふと心おとりとかするものは


B「二年が間、世の中飢渇(けかつ)して、あさましきこと侍(はべ)りき」

【訳】二年の間、世の中は食糧が欠乏して、あきれるほどひどいことがございました。
【出典】方丈記 


C「むく犬の、あさましく老いさらぼひて、毛はげたるを引かせて」

【訳】むく犬で、みっともなく年老いてよぼよぼになって、毛が抜け落ちているのを(従者に)引かせて。
【出典】徒然草 一五二
5.
あし

@悪い。
Aみすぼらしい。

【語呂合わせ】アシカが悪いことをしてもみすぼらしい

@「いづれをよしあしと知るにかは」

【訳】どれがよい、どれが悪いと判断するのであろうか、いや、わかりはしない。
【出典】枕草子 ふと心おとりとかするものは


A「下衆(げす)女のなりあしきが子負ひたる」

【訳】身分の低い女で身なりのみすぼらしいのが子供を背負っているの(はわびしい感じがする)。
【出典】枕草子 わびしげに見ゆるもの
6.
あした

@朝。
A翌朝

【語呂合わせ】あした翌朝

@「雪のおもしろう降りたりしあした

【訳】雪が趣深く降り積もっていた
【出典】徒然草 三一


A「野分(のわき)のあしたこそをかしけれ」

【訳】台風の(あった)翌朝(のありさま)は興味深い。
【出典】徒然草 一九
7.
あそぶ

@詩歌・音楽をして楽しむ。
A音楽を奏する。

【語呂合わせ】遊ぶなら詩歌・音楽をして楽しもう

@「ひとわたりあそびて、琵琶(びは)弾きやみたる程に」

【訳】一とおり音楽を楽しんで、琵琶を弾き終えたときに。
【出典】枕草子 御仏名のまたの日


A「宵はあそびをりて、夜ふけてやや涼しき風吹きけり」

【訳】宵のうちは音楽を演奏していて、夜がふけてしだいに涼しい風が吹いた。
【出典】伊勢物語 四五
8.
あぢきなし

つまらない。

【語呂合わせ】味気なくつまらない

「さしも危ふき京中の家を造るとて、宝を費やし、心を悩ますことは、すぐれてあぢきなくぞ侍(はべ)る」

【訳】あんなにも危険な都の中に家を造るからといって、財産を使って減らし、神経を悩ますことは、まことにつまらないことでございます。
【出典】方丈記 
9.
あな

ああ。あら。

【語呂合わせ】からでてきたのは、ああだ。

あなめでたや。この獅子(しし)の立ちやう、いと珍し。深きゆゑあらん」

【訳】まあ、すばらしいことよ。この獅子の立ち方は、たいへん珍しい。なみたいていでないわけがあるのだろう。
【出典】徒然草 二三六
10.
あはれ

しみじみとした趣。

【語呂合わせ】あっぱれしみじみとした趣があるぞ。

「心なき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ」

【訳】情趣を解さない、出家のわたしの身にも、この情景のしみじみとした趣は自然に感じられたよ。しぎが飛び立つ沢の秋の夕暮れ時よ。
【出典】新古今集 秋上・西行
11.
あまた

たくさん。

【語呂合わせ】余ったよ。たくさんのたくわんが!

「いづれの御時(おほんとき)にか、女御(にようご)・更衣(かうい)あまたさぶらひ給(たま)ひける中に」

【訳】どの帝(みかど)の御代(みよ)であったろうか、女御や更衣がたくさんお仕えしておられたなかに。
【出典】源氏物語 桐壺
12.
あやし

@不思議だ。
A身分が低い。卑しい。

【語呂合わせ】あやしい奴は不思議にも身分が低い

@「げに御かたち・有り様、あやしきまでぞ覚え給(たま)へる」

【訳】なるほど、お顔だち・お姿が、不思議なほど(亡き更衣に)似ていらっしゃる。
【出典】源氏物語 桐壺


A「あやしの身には得がたき物にて」

【訳】身分が低い者の身には、手にいれにくい物で。
【出典】発心集 六
13.
あらまほし

@あってほしい。好ましい。
A望ましい。理想的だ。

【語呂合わせ】あらま!スター(ほし)理想的あってほしい

@「少しのことにも先達(せんだつ)はあらまほしきことなり」

【訳】ちょっとしたことでも、指導者はあってほしいものである。
【出典】徒然草 五二


A「人はかたち、ありさまの、優れたらんこそあらまほしかるべけれ」

【訳】人間は容貌(ようぼう)や風采がすぐれていることこそ、望ましいだろう。
【出典】徒然草 一
14.
あり

存在する。

【語呂合わせ】アリ地獄が存在する

「今は昔、竹取の翁(おきな)といふ者ありけり」

【訳】今となってはもう昔のことであるが、竹取の翁という人がいたということだ。
【出典】竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
15.
ありがたし

珍しい。めったにない。

【語呂合わせ】アリが足し算!めずらしい

ありがたきもの。舅(しうと)にほめらるる婿。また、姑(しうとめ)に思はるる嫁の君」

【訳】めったにないもの。(それは)舅にほめられる婿。また、姑にかわいがられるお嫁さん。
【出典】枕草子 ありがたきもの
16.
いかで

(下に推量の語を伴って)どうして。

【語呂合わせ】いかでどうしてたこ焼きを?!

「ただ今、おのれ見捨て奉らば、いかで世におはせむとすらむ」

【訳】たった今、私が(あなたを)あとにお残し申して死んでしまったら、どのようにしてこの世を生きていこうとなさるのだろうか。
【出典】源氏物語 若紫
17.
いかなる

どういう。どのような。

【語呂合わせ】胃が鳴るのはどういう仕組み?

「つれづれわぶる人は、いかなる心ならん」

【訳】することがなく手持ちぶさたなことをつらいと思う人は、どのような気持ちなのであろうか。
【出典】徒然草 七五
18.
いかに

@なぜ。
Aどのように。

【語呂合わせ】イカになぜ足が十本ある?

「かばかりになりては、飛び降るるとも降りなん。いかにかく言ふぞ」

【訳】これくらい(の高さ)になったからには、飛び降りても、降りることができるだろう。どうしてこのように言うのか。
【出典】徒然草 一〇九
19.
いざ

さあ。

【語呂合わせ】いざ鎌倉へ!さあ出発!!

いざ給(たま)へ、出雲(いづも)拝みに」

【訳】さあ、いらっしゃい、出雲神社の参拝に。
【出典】徒然草 二三六
20.
いたづらなり

@むなしい。
Aむだだ。無意味だ。
※「いたづらになる」は「死ぬ」という意味。

【語呂合わせ】いたずら失敗!仕掛けが無駄になりむなしいな

@「花の色は移りにけりないたづらにわが身み世よにふるながめせし間まに」

【訳】桜の花の色は、すっかりあせてしまったことよ。私がむなしくこの世に時を過ごし、物思いにふけっていた間に、降り続く長雨に打たれて。  私の美しい姿形もおとろえてしまったよ。むなしく時を過ごし、物思いにふけっている間に。
【出典】古今集 春下・小野小町(をののこまち)


A「上人(しやうにん)の感涙いたづらになりにけり」

【訳】上人が感激のあまりに流した涙は無意味になってしまった。
【出典】徒然草 二三六
21.
いづ

@でかける。出発する。
A出る。

【語呂合わせ】伊豆でかけようと家をでる

@「住む館(たち)よりいでて、船に乗るべき所へ渡る」

【訳】住んでいる官舎を出発して、船に乗ることになっている所へ移る。
【出典】土佐日記 一二・二一


A「月もいでで闇(やみ)に暮れたるをばすてに」

【訳】月も出ないで闇に沈んでいる姨捨山(おばすてやま)に。
【出典】更級日記 後の頼み
22.
いづこ

どこ。

【語呂合わせ】五つ子どこですか?

「上の女房の、御方々いづこもおぼつかなからず参り通ふ」

【訳】帝(みかど)付きの女房で、お妃がたのどこへでも気がかりでなく参上して出入りする(人はうらやましい)。
【出典】枕草子 うらやましげなるもの
23.
いつしか

いつの間にか。

【語呂合わせ】いつ鹿がきたの?いつの間にか

いつしかしたり顔にも聞こえたるに」

【訳】(ほととぎすは)いつのまにか得意そうに鳴いているのが聞こえているが。
◆代名詞「いつ」に強意の副助詞「し」と係助詞「か」が付いて一語化したもの。
【出典】枕草子 鳥は
24.
いづれ

@どこ。どちら。
Aいつ

【語呂合わせ】いずれどこでもドアも現実になる。それは「いつ?」

@「いづれの山か天に近き」

【訳】どこの山が天に近いか。
【出典】竹取物語 ふじの山


A「いづれのころのことにか、山僧あまたともなひて、…、竹生島(ちくぶしま)へ参りたりけり」

【訳】いつのころのことであろうか、比叡(ひえい)山の僧が大勢連れだって、…、竹生島神社にお参りをした。
【出典】古今著聞集 五四五
25.
いと

@とても。非常に。
A(後に打消が来て)それほど…(ない)

【語呂合わせ】とても長い。

@「かきつばたいとおもしろく咲きたり」

【訳】かきつばたがとてもきれいに咲いていた。
【出典】伊勢物語 九


A「いとやむごとなききはにはあらぬが、すぐれて時めき給(たま)ふありけり」

【訳】それほど高貴な身分ではない方で、際だって帝(みかど)のご寵愛(ちようあい)を受けて栄えていらっしゃる方があった。
【出典】源氏物語 桐壺
26.
いとど

いよいよ。ますます。

【語呂合わせ】イトーヨーカドーますます繁盛。

「ところどころ語るを聞くに、いとどゆかしさまされど」

【訳】(物語の)ところどころを語ってくれるのを聞くと、ますます知りたい気持ちがつのるけれど。
【出典】更級日記 かどで
27.
いとほし

気の毒だ。

【語呂合わせ】伊藤氏気の毒だ

「翁(おきな)をいとほしく、かなしと思(おぼ)しつることも失せぬ」

【訳】翁を気の毒で、ふびんだとお思いになっていた気持ちも(かぐや姫の心から)消えてしまった。
【出典】竹取物語 かぐや姫の昇天
28.
いにしへ

昔。以前。

【語呂合わせ】胃にしみるのお酒。

「なほ、梅のにほひにぞ、いにしへのこともたちかへり、恋しく思ひ出いでらるる」

【訳】やはり、梅の花の香りによって、以前のことも(当時に)さかのぼって、自然となつかしく思い出される。
【出典】徒然草 一九
29.
いぬ

@行ってしまう。去る。(往ぬ)
A死ぬ。(去ぬ)
B寝る。(寝ぬ)

【語呂合わせ】死ん去ってしまったかと思ったら寝ているだけだった。

@「前栽(せんざい)の中にかくれゐて、河内(かふち)へいぬる顔にて見れば」

【訳】庭の植え込みの中に隠れて座って、河内へ行ってしまうふりをして(ようすを)見ると。
【出典】伊勢物語 二三


A「うち嘆き妹(いも)がいぬれば」

【訳】運命を嘆きながら、うないおとめが死ぬと。
【出典】万葉集 一八〇九


B「夕されば小倉(をぐら)の山に鳴く鹿(しか)は今夜(こよひ)は鳴かずいねにけらしも」

【訳】夕方になるといつも小倉の山で鳴いている鹿は、今晩は鳴いていない。寝てしまったらしいなあ。
【出典】万葉集 一五一一
30.
いはく

言うことには。

【語呂合わせ】岩食って言うことには「…固い。」

「師のいはく、『初心の人、二つの矢を持つことなかれ。…』と言ふ」

【訳】師匠が言うことには、「(弓を)初めて習う人は、二本の矢を持つことをするな。…」と言う。
【出典】徒然草 九二
31.
いまはむかし

今となっては昔のことだが。

いまはむかし、竹取の翁(おきな)といふ者ありけり」

【訳】今となっては、もう昔のことだが、竹取の翁という人がいたということだ。
【出典】竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
32.
いみじ

@すばらしい
Aひどい

【語呂合わせ】イメージすばらしかったが実物はひどかった

@「世は定めなきこそ、いみじけれ」

【訳】この世は無常であるからこそ、すばらしいのだ。
【出典】徒然草 七


A「あないみじ。犬を蔵人(くらうど)二人してうち給(たま)ふ。死ぬべし」

【訳】ああひどい。犬を蔵人(くろうど)が二人でお打ちになっている。死ぬにちがいない。
【出典】枕草子 うへにさぶらふ御猫は
33.
妹(いも)

女性を親しんで呼ぶ語。
妻。恋人。あなた。
※【対義語】背(せ)=夫

【語呂合わせ】いもねえちゃんと女性を親しげに呼んだら殴られた

「紫草(むらさき)の匂(にほ)へるを憎くあらば人妻ゆゑに我恋ひめやも」

【訳】紫草のように美しいあなたをいやに思うならば、(あなたは)人妻なのだから、どうして私が恋い慕うことがあるだろうか、決してそんなことはないよ。
【出典】万葉集 二一・大海人皇子(おほあまのみこ)
34.
いらふ

返事をする。答える。

【語呂合わせ】「やっぱ、いらふぇんでぇ」と返事をする

「いま一声呼ばれていらへんと、念じて寝たるほどに」

【訳】もう一度呼ばれてから返事をしようと、じっとこらえて寝ているうちに。
【出典】宇治拾遺 一・一二
35.
うし

つらい。

【語呂合わせ】に踏まれてつらい

「人の行き通ふべき所にもあらざりければ、なほうしと思ひつつなむありける」

【訳】人が通っていくことのできるような所ではないので、ますますつらいと思っているのだった。
【出典】伊勢物語
36.
うしろめたし

心配だ。不安だ。
※【対義語】後ろ安し。

【語呂合わせ】後ろ見たら事故がおきてて心配だ

「いとはかなうものし給(たま)ふこそ、あはれにうしろめたけれ

【訳】とても幼なくていらっしゃるのが、どうしようもなく悲しく先が不安だ
【出典】源氏物語 若紫
37.
うす

@死ぬ。
A消える。なくなる。

【語呂合わせ】うすにつぶされて死ぬ

@「その人、ほどなくうせにけりと聞きはべりし」

【訳】その(女の)人は、間もなく亡くなってしまったと聞きました。
【出典】徒然草 三二


A「翁(おきな)をいとほしく、かなしと思(おぼ)しつることもうせぬ

【訳】翁を気の毒で、ふびんだとお思いになっていた気持ちも(かぐや姫の心から)消えてしまった
【出典】竹取物語 かぐや姫の昇天
38.
うたてし

がっかりする。なさけない。

【語呂合わせ】歌って失格、がっかりする

「さくりあげて、『よよ』と泣きければ、うたてしやな」

【訳】しゃくりあげて、「おいおい」と泣いたので、がっかりするなあ。
【出典】宇治拾遺 一・一三
39.
うつくし

かわいい。

【語呂合わせ】美しい人は子供のころもかわいい

「うつくしきもの。瓜(うり)にかきたるちごの顔」

【訳】かわいいもの。瓜に描いたこどもの顔。
【出典】枕草子 うつくしきもの
40.
うとし

@よく知らない。
A無関心だ。

【語呂合わせ】うっとうしいからよく知らないし、無関心だ

@「人ごとに、わが身にうときことをのみぞ好める」

【訳】だれでも、自分がよく知らないことばかり好んでいる。
【出典】徒然草 八〇


A「後の世の事、心に忘れず、仏の道うとからぬ、心にくし」

【訳】来世のことをいつも心に忘れず、仏の教えに無関心でないのが、奥ゆかしい。
【出典】徒然草 四
41.
うれふ

@心配する。
A嘆き訴える。

【語呂合わせ】熟れフルーツ。腐ってないか心配だと嘆き訴える

「世の人安からずうれへあへる、げにことわりにも過ぎたり」

【訳】世の中の人々が不安そうに心配し合っているのは、なるほど当然すぎることであった。
【出典】方丈記
42.
え〜打ち消し

@(後ろに打消しや反語を伴って)とても〜ない。
A(後ろに肯定の表現を伴って)うまく〜できる。よく〜する。

【語呂合わせ】〜?できない

@「恐れにて候へば、申し候は

【訳】恐れ多いことでございますので、とても申し上げられません
【出典】宇治拾遺 三・一七


A「その荒波おのづから伏なぎて、御船え進みき

【訳】その荒波は自然に静まって、(倭健命(やまとたけるのみこと)の)お船はうまく進むことができた
【出典】古事記 景行
43.
えならず

何とも言えないほどすばらしい。

【語呂合わせ】ゴッホの絵ならずいぶんと、何とも言えないほどすばらしい

「唐(から)の、大和の、めづらしく、えならぬ調度ども並べ置き」

【訳】中国の、日本のと、見慣れない、何とも言えないほどすばらしい道具類を並べておいて。
【出典】徒然草 一〇
44.
おきつ

命令する。

【語呂合わせ】すぐ起きっ!!と命令する

「高名(かうみやう)の木のぼりといひしをのこ、人をおきてて、高き木にのぼせて」

【訳】有名な木登りと(世間の人が)言った男が、人を命令してて、高い木に登らせて。
【出典】徒然草 一〇九
45.
おきな

老人。おじいさん。

【語呂合わせ】沖縄おじいさん

「大伴(おほとも)のおきなども、今いかに計りことをせむ」

【訳】大伴のご老人よ、今はどのように対策を立てようか。
【出典】日本書紀 安閑
46.
おくる

先立たれる。生き残る。

【語呂合わせ】送る先立たれる不幸のメール。

「故こ姫君は、十ばかりにて殿におくれ給(たま)ひしほど」

【訳】亡くなった姫君は、十歳ぐらいで父君に先立たれなさったとき。
【出典】源氏物語 若紫
47.
おこたる

病気が治る。

【語呂合わせ】おこたで寝病気が治る…わけがない。

「なやみわたるがおこたりぬるもうれし」

【訳】ずっと病み続けたのがよくなったのもうれしい。
【出典】枕草子 うれしきもの
48.
おこなふ

(仏道の)修行をする。

【語呂合わせ】これからおこなうのは仏道修行です。

「この聖(ひじり)のおこなふ山の中に飛び行きて」

【訳】この聖が仏道の修行をする山の中に飛んで行って。
【出典】宇治拾遺 八・三
49.
おとなし

大人っぽい

【語呂合わせ】おとなしい人は大人っぽい

「年のほどよりはいとおとなしく

【訳】お年のわりにはずっと大人っぽくて
【出典】紫式部日記 寛弘五・七・中
50.
おどろく

目を覚ます。目覚める。

【語呂合わせ】驚いて目を覚ます

「なほさるにてこそはと思ひてあるに、わづらふ姉おどろきて

【訳】やはり、主人のそばをはなれれば、猫が鳴くのはあたりまえのことであろうと思っていると、病気の姉がはっと目をさまして
【出典】更級日記 大納言殿の姫君
51.
おのづから

自然に。ひとりでに。

【語呂合わせ】おっノーズから自然に鼻水が!!

「一人に向きて言ふを、おのづから人も聞くにこそあれ」

【訳】一人に向かって言うのを、自然にほかの人も聞くのである。
【出典】徒然草 五六
52.
おのれ

@自分。私。
Aおまえ。

【語呂合わせ】オノでレンコンを切ったのはおまえだ。

@「枝危ふきほどは、おのれが恐れはべれば申さず」

【訳】枝が折れそうで危ない間は、本人がこわがっているから何も申しません。
【出典】徒然草 一〇九


A「これは、おのれはなちては、たれか書かん」

【訳】これは、おまえを除いては、だれが書くだろうか。いや、おまえしかいない。
【出典】宇治拾遺 三・一七
53.
おはす

@いらっしゃる。※「あり」の尊敬語。
Aいらっしゃる。おいでになる。お越しになる。※「行く」「来く」の尊敬語。

【語呂合わせ】王わすれてた。いらっしゃたんですね。

@「竹の中におはするにて知りぬ」

【訳】竹の中にいらっしゃることでわかった。
【出典】竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち


A「御供にむつましき四五人(よたりいつたり)ばかりして、まだ暁におはす

【訳】お供に親しい者四、五人ほどを連れて、まだ夜が明けないうちにお出かけになる
【出典】源氏物語 若紫
54.
おほかた

@大体。(副詞)
A普通。世間一般。(名詞)
B(後ろに打消しを伴って)まったく〜ない

【語呂合わせ】O型の人はだいたい世間一般の人に輸血できる。でも逆にA型をO型にはまったくできない

@「おほかた、振る舞ひて興あるよりも、興無くて安らかなるが、まさりたることなり」

【訳】大体、わざとらしく趣向をこらして面白いことよりも、面白くないが穏当なほうが、すぐれているのだ。
【出典】徒然草 二三一


A「おほかたのやむごとなき御思ひにて」

【訳】(一の御子は皇太子としての)普通の大切になさるという程度のご寵愛(ちようあい)で。
【出典】源氏物語 桐壺


B「おほかた回(めぐ)らざりければ、とかく直しけれども」

【訳】(水車は)まったく回らなかったので、いろいろと直したが。
【出典】徒然草 五一
55.
おぼしめす

お思いになる。

【語呂合わせ】おぼっちゃま、しめすへんをころもへんとお思いになる

「少しひがこと見つけてをやまむ、とねたきまでにおぼしめしけるに」

【訳】少し(でも)間違いを見つけて終わりにしようと、(帝(みかど)は)いまいましいまでにお思いになったが。
【出典】枕草子 清涼殿の丑寅のすみの
56.
おほす

おっしゃる。

【語呂合わせ】オッスおっしゃる

「よの人いかがたへんとおほせられけれ

【訳】世間の人はどうしてたえられるだろうかと(村上天皇は)おっしゃった
【出典】大鏡 道長下
57.
おぼつかなし

はっきりしない。

【語呂合わせ】おぼっちゃま、悲しいのかはっきりしない

「山吹の清げに、藤(ふぢ)のおぼつかなきさましたる」

【訳】山吹の花がさっぱりとしてきれいに(咲き)、藤の花のぼんやりとはっきりしないようすをしているのとが。
【出典】徒然草 一九
58.
おぼゆ

思われる。

【語呂合わせ】おぼっちゃま、湯を水だと思われる

「心あらん友もがなと、都恋しうおぼゆれ

【訳】情趣を解するような友がいたらなあと、(そういう友のいる)都が恋しく思われる
【出典】徒然草 一三七
59.
おもしろし

@趣深い。風流だ。

【語呂合わせ】パンダは尾も白いとは風流だ

「月のいといみじうおもしろきに」

【訳】月がたいそう趣があるときに。
【出典】大和物語 一四九
60.
おろかなり

いいかげんだ。

【語呂合わせ】愚かなりっちゃんいいかげんだ

「わづかに二つの矢、師の前にて一つをおろかにせんと思はんや」

【訳】たった二本の矢で、師匠の前でそのうちの一本を粗略に(いいかげんに)しようと思うだろうか、いや、思わない。
【出典】徒然草 九二
61.
かかる

このような。

【語呂合わせ】このような罠にひっかかるとは子のようだ

「この世にののしり給(たま)ふ光源氏、かかるついでに見奉り給はむや」

【訳】世間で評判になっていらっしゃる光源氏を、このような機会に拝見なさってはいかがだろうか。
【出典】源氏物語 若紫
62.
かぎりなし

この上ない。最高だ。

【語呂合わせ】限りない世界にきみといられて最高だ

「唐土(もろこし)にはかぎりなきものにて、文(ふみ)にも作る」

【訳】(梨(なし)の花は)中国ではこの上なくすばらしいものとして漢詩にも作る。
【出典】枕草子 木の花は
63.
かく

このように。

【語呂合わせ】書くときこのように書くと子のようになります。

かく危(あや)ふき枝の上にて、安き心ありてねぶるらんよ」

【訳】このように危ない枝の上で、よくも安心して眠っていられるものだな。
【出典】徒然草 四一
64.
かげ

@光。
A姿、形。
※「姿」については“人影”と今も言う

【語呂合わせ】かげ姿にあたってうつります。

@「渡る日のかげに競(きほ)ひて尋ねてな」

【訳】(東から西へ大空を)渡る日のと競い合うように求めて行こう。
【出典】万葉集 四四六九


A「我がふるひけるかげのうつりたるを見て言ふなるべし」

【訳】自分のふるえている姿が映ったのを見て言っているにちがいない。
【出典】今昔物語集 二八・一一
65.
かしこし

@もったいない。おそれおおい。
A恐ろしい。こわい。

【語呂合わせ】賢い人はおそれおおいこわいとも思う。

@「かしこくおそろしと思ひけれど、さるべきにやありけむ」

【訳】もったいなく恐ろしいと思ったけれど、そうなる運命だったのだろうか。
【出典】更級日記 竹芝寺


A「大海の波はかしこし

【訳】大海の波は恐ろしい
【出典】万葉集 一二三二
66.
かしづく

大切に育てる。

【語呂合わせ】菓子作り、生地を大切に育てる

「親たちかしづきたまふことかぎりなし」

【訳】親たちが大事にお育てになることは、ひととおりではない。
【出典】堤中納言 虫めづる姫君
67.
かた

方向。方法。時期。
※「方」→方向・方法。時間的な方向→時期

【語呂合わせ】カッターを使う方法は切る方向を間違えないことです。

「あづまのかたに住むべき国求めにとて行きけり」

【訳】東国のに住むにふさわしい国を探し求めるためにと思って出かけていった。
【出典】伊勢物語 九
68.
かたし

難しい。
※漢字で「難し」と書く。→難しい

【語呂合わせ】肩シップを張るのが難しい

「鞠(まり)もかたきところを蹴けいだしてのち」

【訳】蹴鞠(けまり)でも難しいところをうまくけりだしたあと。
【出典】徒然草 一〇九
69.
かたち

姿。顔だち。様子。
※人の形→姿・顔だち・様子

【語呂合わせ】蚊たち姿をみると叩きたくなる。

「まことの人のかたちなり」

【訳】(この女は魔物ではなく)正真正銘の人間の姿である。
【出典】源氏物語 手習
70.
かたはらいたし

@腹立たしい。みっともない。
A恥かしい。

【語呂合わせ】片腹痛くて腹立たしいやら恥ずかしいやら。

@「かやうのことこそは、かたはらいたきことのうちに、入れつべけれど」

【訳】こういうことは、腹立たしいことの中に加えてしまうべきだけれども。
【出典】枕草子 中納言まゐり給ひて 「おほかたさし向かひても、なめきは、などかく言ふらむとかたはらいたし

【訳】大体、向かい合って話す場合でも、言葉が無礼なのは、なぜこのようにしゃべるのかと、腹立たしい
【出典】枕草子 文ことばなめき人こそ
71.
かたぶく

@おとろえる。年をとる
A首をかしげる。不審に思う。

【語呂合わせ】買ったブックを忘れるとは年をとっておとろえたのかと、首をかしげる

@「臣下のあまたしてかたぶけ奉る時はかたぶき給(たま)ふものなり」

【訳】臣下が大勢で衰えさせ申し上げるときは、滅びなさるものである。
【出典】大鏡 後一条


A「相人(さうにん)驚きて、あまたたびかたぶきあやしぶ」

【訳】人相見は驚いて、何度も首をかしげ不思議がる。
【出典】源氏物語 桐壺
72.
かたへ

@仲間
A片方

【語呂合わせ】かたえくぼの仲間の片方のえくぼ。

@「ある荒夷(あらえびす)の恐ろしげなるが、かたへにあひて」

【訳】ある荒々しい東国武士で恐ろしそうな男が、仲間に向かって。
【出典】徒然草 一四二


A「夏と秋と行きかふ空の通ひ路ぢはかたへ涼しき風や吹くらむ」

【訳】夏と秋がすれ違う空の通路には、片方だけに涼しい秋風が吹いているのだろうか。
【出典】古今集 夏
73.
かたみに

互いに

【語呂合わせ】形見の品を互いに分け合う。

かたみにゐかはりて、羽の上の霜払ふらむほどなど」

【訳】(おしどりは、雌雄)互いに位置をかわって、(相手の)羽の上の霜を払ってやるというのなどが(情趣深い)。
【出典】枕草子 鳥は
74.
かづく

@ほうびを頂く
Aほうびを与える。
B水中にもぐる。

【語呂合わせ】家族ほうびを与えようとして水に落っことし水中に潜って取りに行った。

@「大将も物かづき忠岑(ただみね)も禄(ろく)賜りなどしけり」

【訳】大将も引き出物をいただき、忠岑もご褒美をいただいたりなどした。
【出典】大和物語 一二五


A「『願ひを叶(かな)ふることのうれしさ』とのたまひて、御衣(みぞ)脱ぎてかづけ給(たま)ひつ

【訳】 「願いをかなえてくれることのうれしさよ」とおっしゃって、お召し物を脱いで褒美としてお与えなさった
【出典】竹取物語 燕の子安貝


B「隠(こも)り口くの(=枕詞(まくらことば))泊瀬(はつせ)の川の上(かみ)つ瀬に鵜うを八頭(やつ)かづけ

【訳】泊瀬の川の上流で鵜をたくさんもぐらせ
【出典】万葉集 三三三〇
75.
かど

@趣。
A才能。

【語呂合わせ】とうふのにあたまをぶつけ、を感じる才能

@「かどある巌石(いはほいし)を立てならべて」

【訳】趣のある岩石を立てならべて。
【出典】栄花物語 駒競べの行幸
76.
かなし

かわいい。いとしい。

【語呂合わせ】悲しいけれどかわいい子には旅をさせよ。

「限りなくかなしと思ひて、河内(かふち)へも行かずなりにけり」

【訳】この上なくいとしいとおもって、河内へも行かなくなった。
【出典】伊勢物語 二三
77.
かばかり

@これほど
Aこれだけ

【語呂合わせ】カバンかリュックかで、これほど悩むな!

@「かばかり守る所に、天の人にも負けむや」

【訳】これほど(厳重に)守る所では、天人にも負けるだろうか、いや、負けはしない。
【出典】竹取物語 かぐや姫の昇天


A「極楽寺・高良(かうら)などを拝みて、かばかりと心得て」

【訳】(末寺や末社の)極楽寺や高良神社などを拝んで、(石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)は)これだけと思いこんで。
【出典】徒然草 五二
78.
〜がり

〜のところへ。

【語呂合わせ】ガリタさんお勧めのところへ食べに行こう!

「むかし、紀の有常(ありつね)がり行きたるに」

【訳】昔、紀(きの)有常の所へ(男が)行ったところ。
【出典】伊勢物語 三八
79.
かる

離れる。遠ざかる。

【語呂合わせ】井沢から遠ざかる

「年ごろの蓬生(よもぎふ)をかれなむも」

【訳】長年住み慣れたこの荒れた屋敷を離れてしまうのも。
【出典】源氏物語 若紫
80.

〜た。(過去)

【語呂合わせ】たぁ

「この男(をのこ)の家ゆかしくて、率ゐて行けと言ひしかば、率て来たり」

【訳】(私は)この男の家が見たくて、(この男に)連れて行けと言ったので、(男は私を)連れて来のです。
【出典】更級日記 竹芝寺


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