解説

3章 1次方程式

1.1次方程式の解法


【1】等式と方程式
3+5
+3
4a−3
のように、をふくむ式を等式(とうしき)といいます。
また、=の左側を左辺さへんといい、=の右側を右辺うへんといいます。
そして、左辺と右辺を合わせて両辺りょうへんといいます。

たとえば、3+2=5という等式は、
=1のとき、
3×+2=5 と成り立ちます。
しかし=2や=3だと、この式は成り立ちません。
このように、ふくまれる文字がある値をとったとき成り立つ等式を方程式ほうていしきといい、その方程式を成り立たせる文字の値を方程式のかいといいます。
その方程式の解を求めることを、その方程式を解くといいます。

【2】等式の性質

A=Bのとき、等式は次のことが成り立ちます。
1.\(A+C=B+C\)  等式の両辺に同じ数をたしても、等式は成り立つ。
2.\(A-C=B-C\)  等式の両辺から同じ数をひいても、等式は成り立つ。
3.\(AC=BC\)   等式の両辺に同じ数をかけても、等式は成り立つ。
4.\(\dfrac {A} {C}=\dfrac {B} {C} \)   ただし、\(C\neq 0\)
         等式の両辺を同じ数でわっても、等式は成り立つ。

【3】移項いこう
 【2】の等式の性質を利用して、方程式を解いてみます。
\(2x-5=3\)  …… ①
 ①の両辺に5をたします。
\(2x-5\) +5\(=3\) +5 …… ②
 両辺を整理します。
\(2x=8\)
 両辺を2でわります。
\(x=\dfrac {8} {2} \)
 したがって
\(x=4\)
 となります。

 この解法の②の左辺に注目してみましょう。
\(2x-5\) +5\(=3\) +5 …… ②
 左辺の−5と+5だけ整理すると、
\(2x=3+5\)  …… ②´
 となります。
 ①と②´を比較してみると、①の左辺の−5が符号を変えて+5となり、右辺に移っていることがわかります。
\(2x\) −5\(=3\)  …… ①
\(2x=3\) +5 …… ②´
 つまり、
等式の一方の辺にある項は、符号を変えるともう一方の辺に移動できます。
 このことを移項といいます。
 方程式を解く場合、移項して式を整理すると計算が簡単になります。
 〔例〕
 ①4−1=3を移項すると、
 4=3+1

 ②=−4−10を移項すると、
=−10

 ③5a+3=−5+aを移項すると、
 5a−a=−5−3

【4】1次方程式
文字を含む等式を方程式といいます。
文字を含む方程式の中で移項すると、
+b=0 ただし、a≠0
の形になるものを1次方程式といいます。
ちなみに
+b+c=0 ただし、a≠0 ……2次方程式
+b+c+d=0 ただし、a≠0 ……3次方程式
といいます。
つまり次数がいくつかで、1次方程式、2次方程式、…となります。(中学校では2次方程式までを学びます)

【5】1次方程式の解き方
1次方程式を解く基本的な手順は
①文字を含む項を左辺、数字だけの項を右辺に移項する。
②両辺を整理して、\(ax=b\)
③両辺を\(x\)  の係数\(a\)  でわり、\(x\)  の値を求める。
④«検算»求めた解をもとの方程式に代入し、間違いないか確認する。

※ ③までで解法は終了ですが、をやることでテストの点数はかなり違ってきます。必ず検算するクセをつけましょう。
 〔例〕
\(6x+3=27\)
\(6x=27-3\)  …… ①
\(6x=24\)  …… ②
\(x=4\)  …… ③
«検算» 6×+3=27 …… ④
 (答)\(x=4\)

\(7x-3=3x+9\)
\(7x-3x=9+3\)  …… ①
\(4x=12\)  …… ②
\(x=3\)  …… ③
«検算» 7×−3=3×+9 …… ④
 (答)\(x=3\)

【6】いろいろな形の1次方程式
・カッコを含む方程式
カッコをはずしてから、【5】の手順で計算する。
 〔例〕
\(x-5\left(x-5\right)=1\)
\(x-5x+25=1\)
\(x-5x=1-25\)
\(-4x=-24\)
\(x=6\)
«検算» −5(−5)=1
 (答)\(x=6\)

・分数を含む方程式
分母の公倍数を両辺にかけて、分母をはらってから、【5】の手順で計算する。
 〔例〕
\(\dfrac {x} {2} +\dfrac {x} {3} =5\)
 両辺に2と3の公倍数の6をかけて、
\(3x+2x=30\)
\(5x=30\)
\(x=6\)
«検算»\(\dfrac {6} {2} +\dfrac {6} {3} =5\)
 (答)\(x=6\)

・小数を含む方程式
 両辺に10や100などをかけて、係数を整数にしてから、【5】の手順で計算する。
\(0.6x+2.3=-0.2x-0.9\)
\(\left(0.6x+2.3\right)\) ×10\(= \left(-0.2x-0.9\right)\) ×10
\(6x+23=-2x-9\)
\(6x+2x=-9-23\)
\(8x=-32\)
\(x=-4\)
«検算» 6×(−4)+23=−2×(−4)−9
 ※もとの少数の式より、整数にした式で検算した方が簡単。
 (答)\(x=-4\)


   





↑ページトップへ戻る